コラム

くりーむパン「八天堂」×宅配クリーニング「リアクア」。ものづくりのこだわりと手仕事の未来図。

フフルルニュース

くりーむパン「八天堂」×宅配クリーニング「リアクア」。ものづくりのこだわりと手仕事の未来図。
わたしたちの暮らしを支える「衣食住」。その価値観は時代とともにかたちを変えながらも、いつの時代も健やかな毎日を送るための大切な要素です。そこで今回は、「衣」と「食」にスポットを当て、冷やして食べるくりーむパンでおなじみの「八天堂」森光孝雅社長と、上質で丁寧な宅配クリーニングサービス「リアクア」を展開する「喜久屋」中畠信一社長にインタビュー。わたしたちの暮らしのなかに息づく職人たちの「ものづくり」へのこだわりと、手仕事の未来について語っていただきました。

たゆまずに積み重ねてきた手仕事へのこだわり

八天堂 森光孝雅社長
八天堂 森光孝雅社長
森光さん 「八天堂」は昭和8年に広島県三原市で和菓子屋として創業しました。父の代で洋菓子店となり、三代目のわたしの代ではパン屋となりました。以前はいわゆる街のパン屋さんで、三原市を中心に10店舗を展開していた時期もありました。ところが、「良いパンを」という想いから、「次に売れるパンを」と考えるようになり、いつしか商品点数は100点を超えるまでになっていました。
 やがて経営危機に陥り、一番売れ行きが良かったクリームパンに商品をしぼって、新たに開発をしたのが現在の八天堂くりーむパンです。やるからには普通のクリームパンではつまらないし売れない。自家消費であるパンからお土産に持って行けるパンを目指し、3年の歳月をかけて開発をしました。
喜久屋 中畠信一社長
喜久屋 中畠信一社長
中畠さん 創業は昭和31年で、わたしは二代目となります。父の代の頃は高度成長の波に乗り、現在も本社を置く足立区の東武沿線上に取次店を次々と出店。クリーニングの需要は高まる一方でした。ところが、わたしが二代目となった35歳のときバブルが崩壊。クリーニング業界もその煽りを受け、一気に低迷しました。父の代から培ってきた確かな技術に自信はあっても、何か新しいことにチャレンジして、切り開いて行かなければこのまま衰退してしまうと考え、無料保管サービスやクリーニングのオンライン宅配サービス「リアクア」に着手しました。
 これは、箱や専用バッグに衣類を詰めて送るだけで宅配便としてコンビニ利用でき、全国対応で同一料金(沖縄県を除く)のクリーニングと6ヶ月の無料保管サービスを提供する業界初のシステムです。

-- 苦境から抜け出し、新しいことにチャレンジするといった共通点がある八天堂とリアクア。その背景にはどんな努力や手仕事・ものづくりのへの思いがあったのでしょう。

森光さん 売るものは変わっても、創業以来守り続けているのは「手作り」というこだわりです。なかでもくりーむパンの開発で一番苦労したのは、パンのなかにクリームを注入する作業です。一般的なクリームパンは、パン生地にクリームを包んで生地と一緒に焼き込みをするのですが、それでは市場に出回っているクリームパンと変わりません。
 そこでわたしたちはクリームの口どけにとことんこだわることで他社に真似されないクリームパンを作ることを決意しました。クリームの開発もさることながら、パンは冷やすと劣化するため、これをクリアするために数えきれない試作を繰り返しました。パン生地に対してクリームの容量はどれがベストなのか、X線で調べたりもしましたね(笑)。手を汚さず、食器もいらない「手土産に持って行けるパン」は、こうした小さいところへのこだわりの積み重ねによって生まれました。それこそが、創業以来培ってきたものづくり、手作りの真髄なのではないでしょうか。
くりーむパン「八天堂」×宅配クリーニング「リアクア」
中畠さん 技術面で徹底しているのはボタンの変形を防ぐこと。ワイシャツは高温でプレスをして仕上げますが、するとどうしてもボタンが劣化してしまいます。朝、クリーニングから戻ってきたワイシャツを着たら、ボタンが取れてしまった、割れてしまったというのはそれが原因です。これは「不可抗力だから仕方ない」と、従来クリーニング業界では常識とされてきましたが、わたくしどもは違います。
 前日から翌日着て行く服を準備し、それに合わせて靴やベルトなどの小物を組み合わせていたのに、ボタンが割れるハプニングがあると、せっかく準備したコーディネートを選びなおさなければなりません。これでは貴重な朝の時間ロスに加え、1日の始まりに精神的負担をかけてしまうことに。前日から服を準備するルーチンを守って気持ち良く出勤していただくために、わたくしどもでは常時200種以上のボタンをストックし、すべてのボタンの状況をチェック。劣化が激しいものは付け替えてからお戻ししています。

森光さん 変わらず守り続けるものが手仕事のようなこだわりだとすれば、時代のニーズに応え、より良い商品を提供する努力もまた企業としての責務だと考えます。中畠さんともそんな話をよくするんです。
 例えば、八天堂のくりーむパンは口どけを重視しているため、クリームがパンになじむにつれ、パンの生地がしっとりと湿ってきてこぼれやすくなります。万が一シャツについてしまった場合、リアクアさんのクリーニングサービスをご利用いただけるクーポンをつけるなど、異業種間でフォローし合い、共存の道を模索することも今後必要になってくるのではないでしょうか。
くりーむパン「八天堂」×宅配クリーニング「リアクア」
中畠さん まさにおっしゃる通りだと思います。景気が良い時は競争することで利益を生むことができますが、今の時代、他社と戦っては共倒れになってしまいます。戦うとしたらそれは他社ではなく、自社。ほかと比べるのではなく、自社の商品やサービスを向上させていくことが大切だと思います。競争ではなく「共創」こそが、これからの企業に求められる姿ではないでしょうか。
くりーむパン「八天堂」×宅配クリーニング「リアクア」

なおも邁進し続ける「八天堂」と「喜久屋」の企業力とは

-- 今の時代に合わせ、変化と進化を遂げる2社。サービスの展開やこれからの展望をお聞かせください。

森光さん 新たな挑戦として、当社は2017年にシンガポールで初の直営店を開店しました。開店前にマレーシアでイスラム教の戒律に則って調理・製造された商品であることを証するハラール認証を取得しました。これでムスリムの方も安心して八天堂のパンを味わっていただくことができます。そして、さらなる挑戦として、フルーツや生クリームをハンバーガーのようにサンドして楽しむ、スイーツバーガーをラインナップに加える予定です。

中畠さん 全国の老舗優良クリーニング事業者と宅配ネットクリーニング 「リアクア」を立ち上げ、統一された基準とサービスを全国のお客様にお届けしています。「リアクア」では、ウェブサイトとサービス全般のマネジメントを運営本部として喜久屋が担当し、お客様への集荷配達は運送会社に委託、 クリーニングは地域ごとの委託工場による作業で物流コストを抑え納期を短縮。新しい地産地消型の宅配クリーニングサービスを展開しています。

森光さん それはまさに「競争」ではなく「共創」ですね。スイーツ業界は移り変わりが激しいため、他社との競争ばかりにとらわれていては、企業としての成長やお客様に心から喜んでいただける品質を維持することができません。他社に真似できないこだわりや、自社製品に真摯に向き合うことで、スタンダードとイノベーションの両輪をバランスよく駆動できるのではないでしょうか。
くりーむパン「八天堂」×宅配クリーニング「リアクア」
中畠さん 老舗の名前に頼るのではなく、よりよき未来のためにイノベーションへの挑戦は必要不可欠。日本のものづくりの精神や、職人気質は、海外でも受け入れられると確信しています。当社は現在、タイに進出し、日本国内と同じサービスとクオリティーを展開中です。以前に比べて生活水準が高くなっているタイですが、クリーニング店の技術や品質は決して良いとはいえない状況です。
 そんなタイに出店したところ、まず、品質の高さによる丁寧な仕事に驚かれていたのが印象的でした。また、あるお客様からお預かりした衣服で、どうしても取りきれないシミがあり、その説明をしっかりさせていただいた時もとても喜ばれて。ぜひ、自分にもクリーニング店舗の経営をやらせてほしいとまで仰っていたほどです(笑)。
 こうした一連の出来事があり、日本の職人気質やものづくりのこだわりは、海外市場にも通じると確信。チャレンジをすることで、日本企業の底力を見せてやりたいですね。

森光さん 商品のクオリティーを高めることはもちろんですが、おいしさだけではなく、手に取っていただく時のシチュエーションや接客。また、安全・安心への取り組みも含めて「お品」だと考えています。お手に取っていただいたお客様には、必ず喜んでいただけるよう、精いっぱいの心をこめてお創りしています。長く愛される企業には、誠実、信頼、期待など理屈抜きに応援したいメソッドがあります。
 わたくしどもも、そんなブランドを目指して日々、精進してまいります。
くりーむパン「八天堂」×宅配クリーニング「リアクア」
「衣」と「食」。ライフスタイルの鍵となる2つの要素を、培ってきたものづくりへのこだわりとあくなき探究心・チャレンジ精神で歩み続ける八天堂とリアクア。企業のトップリーダーが発言する言葉に、日本の未来へと続く光を力強く感じることができました。これからの2社の活動にも注目です。

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くりーむパン「八天堂」×宅配クリーニング「リアクア」
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リアクア
文:ねこりょうこ
ライター/エディター/フードスタイリスト
情報誌編集部員を経てフリーランスに。美容、インテリア、フードなど、スタイル提案の記事を中心に執筆。モットーは『食べることは生きること』。
ごはんと動物をこよなく愛し、今日も「おいしい」と「かわいい」を求め、日本全国を取材活動中。
【公式ブログ】ねこ食堂