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エール、ラガービールとは?おいしい国産クラフトビールに乾杯!

クラフトビール基礎講座 前編

エール、ラガービールとは?おいしい国産クラフトビールに乾杯!
ビールがおいしい季節がやってきました! そこで今回は、近年注目度の高まる国産クラフトビールの楽しみ方を2回に分けてご紹介します。前編では、クラフトビールの基礎知識を日本ビアジャーナリスト協会の福岡モモコさんから学びます。

「エール」と「ラガー」違いわかりますか?

今回のテーマは「クラフトビール」。クラフトビールとは、中小規模なブルワリー(醸造所)でビール職人が造っているビールで、バーなどで飲んだことがあるという人も多いのではないでしょうか。ビール職人が造り出す高品質なビールを「手工芸品(Craft)」に例えて、クラフトビールと呼ぶのです。

 

ベルギーやイギリス、ドイツ、アメリカなどの国ではそれぞれの国の特色あるクラフトビールを手軽に楽しむ文化が根付いていますが、日本でも200以上のブルワリーが、日本のビール市場を盛り上げ、世界に売り出していこうと切磋琢磨しています。ワインや日本酒のようにクラフトビールを語れるようになれば、いっそうおいしく楽しく飲めるはず。

 

教えてくれるのは、クラフトビールに詳しい、日本ビアジャーナリスト協会の福岡モモコさんです。

 

普段ビールを飲むときにあまり気にしないかもしれませんが、ビールにはさまざまな種類があります。そして、これこそクラフトビール入門の大きなカギ。

 

「ビールを大きく2種類に分けると、〈エール〉と〈ラガー〉があります。ふたつは、エール酵母を用いて20度前後の温度でタンクの上面で発酵するか(エール)、ラガー酵母酵母を用いて10度以下で下面で発酵するか(ラガー)という違いがあります。イギリスをはじめとする海外で愛されている華やかな香りでまろやかな味の〈エール〉に対して、日本の大手のビールメーカーが採用しているのは、すっきりとしたのどごしの良い〈ラガー〉です」と福岡さん。

 

今回は、エールビールを製造する長野の「ヤッホーブルーイング」と、ラガービールを手がける埼玉の「COEDO(コエド)」を例に、覚えておくとよりいっそうおいしく飲めるクラフトビールの解説をしていきます。

華やかな香りを楽しむ「エールビール」

エールビールの特長と言えば、グラスに注いだ瞬間に開く華やかな香り。フルーティーでインパクトがある味と香りは日本でもおなじみになってきました。小中規模のブルワリーも参入して、いままでのビールの常識を覆すような個性的な味わいのものも増えてきています。

 

「ヤッホーブルーイング」は、エールビール専門のブルワリー。看板商品の「よなよなエール」、濃厚な黒ビールの「東京ブラック」、ホワイトエールの「水曜日のネコ」など、ネーミングも味も個性的なビールで、日本のクラフトビール界を牽引してきました。

 

2013年10月には、東京・赤坂に公式ビアレストラン「よなよなBEER KITCHEN」をオープン。エールビールにぴったりな食事と一緒に、プロがサーバーから注ぐビールを楽しめます。

1997年に「家庭で飲める手軽な本格エールビール」として誕生した「よなよなエール」。コンビニでも手に入る手軽さとインターナショナルビアコンペティションで8年連続金賞を受賞する実力を兼ね備えています。艶やかな琥珀色が特長のアメリカン・ペールエールというスタイルで、柑橘類を思わせるホップの香りが存分に感じられます。

 

「缶でそのまま飲むなんてもったいない! グラスに注いでゆっくりと色と香りを楽しみたいですね」と福岡さん。

 

冷たすぎると味や香りを感じにくいため、13℃という少々高い温度で飲むのが通の飲み方だそうです。

 

 

「水曜日のネコ」

青リンゴを思わせる気品ある香りと、オレンジピールの爽やかな香り。ベルギーの伝統的な製法で造られた、ベルジャン・ホワイトエールです。ホワイトエールとは、小麦を使ったビールのこと。アルコール度数も4.5%と低い上に、苦みもほとんどないことから、女性やビールが苦手な方でも飲みやすいのです。

 

「“週の真ん中、水曜日の夜に『おつかれさま!』の想いを込めて”というブランドメッセージもすてき!」

 

心をゆるめてくれる、ご褒美ビールです。

 

 

「インドの青鬼」

「水曜日のネコ」とはうって変わって、どっしりとしたビール「インドの青鬼」は、インディア・ペールエール(IPA)と呼ばれるビアスタイルのビールです。IPAとは、大航海時代、イギリスからインドへの長距離輸送に耐えられるように、ホップを大量に入れたことを起源とした、苦みたっぷりのハイアルコールビールのこと。

 

「アルコール度数が7%と高いので飲みやすいからといってぐいぐい飲むと結構酔っぱらいます(笑)」

 

ビールといってもそのアルコールの高さはあなどれないのです。時間をかけてゆっくりと味わうのがいいそう。

 

ほかにゆっくり味わうものとして、人生の折り目、節目のお祝いごとの席で飲みたい特別なビール「ハレの日仙人」が人気。バーレイワインというスタイルをとっており、6か月以上熟成させたという超々熟成ビール。高いアルコール度数と熟成させた旨味は玄人好みかもしれませんが、ビール好きなら一度は体験しておきたい逸品です。

すっきりとした後味の「ラガービール」

夏の暑い日にビールを冷やして飲んでのどを潤し、爽やかなのどごしを味わう楽しみは格別。ラガービールは、すっきりとした後味と、のどごしの良さが特長です。大手ビールメーカーを中心に、日本で流通しているビールの9割がこのラガービールだと言われています。麦芽とホップというシンプルな原料だからこそできる、趣向を凝らした奥深い味わいが楽しめます。

 

原材料がシンプルなものが多いラガービールは“料理の味の邪魔をしない”という利点も。ビール単体で楽しむのももちろんいいですが、ローストビーフにはどのビールが合うか? 燻製料理はどのビールが引き立ててくれるか? 今日はこのビールのつまみにビターチョコレートを合わせよう! なんて料理とビールをペアで考えられるようになったら立派な「ビール通」ですよ!

 

ラガービールの代表「COEDO」は、“Beer Beautiful”をコンセプトにまったく色や味の異なる5種類を展開。ビール本来の豊かな味わいと「ビールを自由に選ぶ」という新たな楽しみ方を提案しています。本場ドイツの工場から設備を輸入。ブラウマイスターも呼び寄せ、丁寧な醸造技術とともに、真摯なビール造りを続けています。

 

「日本人の舌にあった繊細な味がCOEDOの素晴らしいところ。国際的なコンテストで多数受賞しており、欧米、アジアでの評価も高いですね」

 

スタイリッシュなパッケージデザインと日本の伝統色を冠したユニークなネーミングもいまやお馴染み。日本を代表するクラフトビールブランドに成長しました。

 

 

「COEDO 瑠璃-Ruri-」

ホップや麦芽はビールマイスターが厳選した天然素材のみを直接仕入れたとあって、その芳醇さ、鼻に抜けるときの香りの華やかさはグルメな人をも唸らせます。

 

福岡さんいわく、「この『瑠璃』がシリーズの中で一番スタンダードだと思うのですが、やっぱりおいしいな、と。シンプルながらもクリアな飲み口がいいですよね」

 

白いきめ細やかな泡もおいしさの証拠。どんな料理にも合いそうな、プレミアムピルスナーの名にふさわしいビールです。

 

 

「COEDO 伽羅-Kyara-」

2014年4月にアメリカのコロラド州デンバーで開催された“ワールドビアカップ2014”においてAmerican Style Amber Lagar部門のシルバーアワード(銀メダル)を受賞した「COEDO 伽羅-kyara-」。赤みがかかった深い黄褐色の美しさにため息が出るほど。鮮やかできれいな苦みと、スパイシーさを感じさせるアロマホップが特長です。

 

この独特な味をつくり出すために、6種類の麦芽を配合したそう。飲み応えがありながらも切れ味が鋭いのは、低温発酵のラガー酵母が成せるワザなのです。

 

 

「COEDO 紅赤-Beniaka-」

赤みのある琥珀色、香ばしい甘みが特長のジャパニーズプレミアムラガー。2~3か月の長期熟成で仕込まれています。COEDOの本社がある川越の名産、金時さつまいもの「紅赤」を原料とし、日本だからこそ、川越だからこそのオリジナリティのある味となりました。アルコール度数はやや高めの7%。深い甘みのある穀物類や、肉料理との相性も抜群です。

 

「さつまいもが入っていてコクが際立つ珍しいビールです。冷やしすぎず、ゆっくりと飲みたいですね」

 

COEDOではほかにも、小麦と酵母が織りなす白濁色のホワイトビール「COEDO 白-Shiro-」重たすぎないまろやかさを持つ黒ビール「COEDO 漆黒-Shikkoku-」、数量限定のシーズナルビール「Session IPA(タル限定)」を発売しています。

 

「エール」と「ラガー」はどちらがおいしいかはあくまでも好みの問題になりますが、やはり日本のクラフトビールは、本場の味や製法を忠実に受け継ぎつつ、日本人の味覚にマッチしたものが多いよう。飲み比べてみると、それぞれに違ったおいしさがあることに気付くことでしょう。

 

「最近では、地産地消ビールとして自社でホップを育てているブルワリーや、家族経営の小規模なブルワリーも増えています」と福岡さん。

 

まずは、自分と縁やゆかりのある地域のブルワリーを応援する気持ちで選んでみるのもいいかもしれません。自分へのご褒美に、普段の晩酌に。日本のおいしいクラフトビールを気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

次回は、日本のクラフトビールを飲むのに最適な温度やグラス、フードペアリングについて福岡さんにレクチャーしてもらいます。

 

 

文・海老原悠 写真・ただ(ゆかい)

撮影協力:よなよなBEER KITCHEN 赤坂店

よなよなBEER KITCHEN 赤坂店

【住所】東京都千代田区永田町2-14-3 東急プラザ 赤坂2階 【TEL】03-5510-4789 【営業時間】11:30~23:00(L.O. フード 22:00、ドリンク 22:30) *平日16:00まではランチメニューのみご利用いただけます

http://www.yonayonabeerkitchen.com/

講師プロフィール

福岡モモコさん
ビアジャーナリストアカデミー卒業後、日本ビアジャーナリスト協会所属。2013年ビアソムリエ取得。 クラフトビール関連のイベントや店舗などの紹介記事を執筆、また他分野とのコラボイベントを開催している。旅やインテリアに関する仕事にも関わり、ツアコン時代にチェコ、ドイツ、ベルギー、ニュージーランドなど各国でのビールとの出会いで興味が急増、現在は日常の中で味わう日本や海外のクラフトビールに日々喜びを感じている。

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