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「藍染の良さを若者に伝えたい」AISOMEがファッションショーで魅せる「日常に溶け込む藍」の世界

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「藍染の良さを若者に伝えたい」AISOMEがファッションショーで魅せる「日常に溶け込む藍」の世界
"藍染"自体は広く知れ渡っていますが、日常にはあまり馴染みがない。そんななか、1人の女性が「藍染めの文化をもっと若者に知ってもらいたい」という想いを胸に立ち上がりました。

古くから日本の伝統色として愛されてきた藍。ヨーロッパでは「japan blue」と呼ばれています。そんな日本の特別な色である「藍」は、染めの回数や染料の機嫌によってさまざまな表情を見せ、色の種類はなんと48にも及ぶのです。それらを総称して「藍四十八色」と呼び、それぞれに色名があるくらい奥深いものなのです。

 

>>「藍四十八色」の色見本

 

藍は美しいだけではなく、防虫・解毒などの効能も持ち合わせているため、江戸時代では衣服や商店の暖簾・風呂敷などの日用品にも使用され、庶民にとってポピュラーな存在でした。

 

しかし、かつては身近にあった天然の藍の染料も、次第に安価な化学染料が流入してくることにより「高価で手が届きにくい」「日用品というより工芸品」の位置付けで扱われることが増え、なかなか縁遠いものとなってしまったのです。

「日常に使える藍染めの在り方」を提案する団体AISOME

栃木県の益子町に、200年以上前から続く「日下田藍染工房」という染物屋さんがあります。藍染めの染料が入った72個の藍甕が並び、今でも全て手作業で藍染めが行われているのです。

 

建物と甕場はともに県の有形文化財に。また現在の主人、9代目・日下田正氏は県の無形文化財に指定されています。以前、こちらの工房で染めた生地をフランスの展覧会で披露したこともありました。

そんな国内外から高い評価を得ている日下田藍染め工房ですが、現在いくつもの問題を抱えています。その1つが「価値の高い布でありながら、時代に合った"モノ"が少ない」ということ。

 

ファストファッションが生まれ、激しい価格競争のなかで全国の染物屋さんは共通の問題を抱えています。値段で勝負するのではなく、本物の価値を分かってもらうにはどうしたら良いのか。そこで立ち上がった団体が「AISOME」です。

写真はAISOMEの発起人の今井彩衣さん。学生時代に日下田氏と出会い、藍染めの魅力に惹き込まれ、「この素晴らしい藍染めの文化を、もっと若者に知ってもらいたい。現在でも日常的に使える藍染めの在り方を提案できないか」と考えるようになったとのこと。

 

そこで今井さんは身近にある"服"に焦点を当てました。

 

丈夫で長く着用できるという利点をもつ藍染めの生地を用いて、県内外のファッションデザイナーに服に仕立ててもらい、ファッションショーを行ったら藍染めを広められるのではないか、と考えて行動し始めました。

今井さんの呼びかけや噂を聞きつけ、集まった仲間は40人を超えました。中には東京から駆けつけるメンバーや、藍染めを初めて見る人も。

 

「藍染めという文化を、未来に伝えていくのっていいね。」

 

今井さんの思いを共有し繋がったメンバーたちには、すでに藍はすぐ傍にある存在になっていました。

若い感性で魅せる藍染めの可能性

ファッションショーの当日は、益子で3年に一度行われるお祭り「土祭(ひじさい)」とのタイアップで開催されました。

 

会場は、益子焼で使用される土が保管されている原土置き場。モデルは、益子町に住んでいる人や、ゆかりのある人。

 

開演すると、日下田藍染工房にて畑を耕したり、糸を紡いだり、布から滴る藍の音などをサンプリングして構成されたBGMに乗せて、藍染めの作業風景をまとめた映像が流れ、会場一帯がまるで工房の中にトリップしたかのような空間に。

山のように盛られた土をバックに、颯爽と歩くモデルが身に纏う衣装は、様々な生地を継ぎ接いで藍にくぐらせた綿のシャツや、洗いをかけたデニムのように冴えたスカイブルーのミニスカート。

 

白い生地が裾に向かって濃紺へと移りゆくグラーデーションのノーカラーコートなど、日常使いとして重宝されるアイテムたちが藍四十八色に彩られ、藍の香りを辺りに漂わせました。

 

藍染の凝ったデザイン性と上品さがある工芸としての一面も、普段のファッションとしても取り入れ易そうな日常着の一面も、大人から幼い子供まで、皆が見とれていた光景こそ、新たな藍染めの在り方を提案できた尊い時間だったのではないでしょうか。

約300人が入る会場は昼の部、夜の部ともに超満員で「昼の公演が忘れられなくて夜も来ちゃった。」なんてお客様もいらっしゃったほど。

 

終演後、会場には鳴り止まない拍手が響きました。その後も日下田藍染工房ではショーを楽しまれたお客様からの電話が鳴り止まなかったそうです。

藍染めの良さを発信し続ける洋服たち

藍の奥深い美しさは、今も全世界で愛され続けています。“現代”というフィルターを通すことで、新たな価値がプラスされた藍染めの洋服をご紹介します。

 

"古くから日本人があたりまえに行っていた人に優しく、丈夫で長持ちする工夫に満ちたものづくり。"を理念に掲げる「45rpm」。ベーシックなアイテムに藍染めを施した長く付き合える着心地の良い服は、真摯なものづくりの姿勢から生まれます。

45rpm
45rpm
LITMUS
LITMUS

伝統技法の"灰汁発酵建て"を受け継ぐ「LITMUS」のアイテムは、普段着として合わせやすいシンプルなアイテムに藍の豊かな色彩を楽しむことができます。

dosa
dosa

繊細な生地使いが人気の「dosa」。

 

15SSのコレクションでは藍にスポットを当てています。上質で細部にこだわりが光るシャツは、普段の1日をワンランクアップしてくれそう。

「藍」は一生もの

天然の藍で染める生地は、化学薬品で染めたものと違い、使用するたびに色が褪せていきます。また、同じ色に染めようとも多少の色の差が出てしまったりもします。

 

しかし、その色味や褪せ具合の違いは、身につける人ひとりひとりのその色味や汗具合の違いは実に付ける人の個性を光らせます。愛着もひとしおです。

 

染めを繰り返すことで生地も丈夫になり、褪せては染め褪せては染めを繰り返すことで一生ものとなる藍染めの生地に、ぜひ一度触れてみて下さい。

文:meary
アパレル企業にてデザインの修行中。趣味はものづくり、おでかけ、音楽鑑賞。最近は地方に興味を持ち、東京と地元・栃木を行き来する日々を楽しんでいます

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