コラム

「prideli graphic lab」前編

別冊コロカル 第6回 大阪府大阪市

「prideli graphic lab」前編
全国のすてきなお店をめぐり、マガジンハウスのwebマガジン『コロカル』と連動してご紹介する『別冊コロカル』。今回は、「OPUS DESIGN inc.」が運営するものづくりの実験場、大阪市の「prideli graphic lab」を訪ねました。

関西から、新しいものづくりを発信!

大阪を拠点に活動している「miranda co.」は、雑誌や書籍などのエディトリアルデザインなどを手がける一方で、「OPUS DESIGN inc.」(以下オプスデザイン)を立ち上げ、デザインを通して地元大阪を中心に商品開発や企業ブランディングなどにも携わってきた。

「plideli graphic lab」(以下prideli)は、そんな両者のものづくりのための実験場としてオープンした場所だ。現在は、「3rd hand」という古着をリメイクしたアパレルブランドを展開・販売しながら、関西で活躍する作家がつくるプロダクトや文房具を販売している。

 

「自分たちはもちろん、気軽に作品の発表の場として使ってもらいたいと思っています」と、prideliを担当しているオプスデザインの松井直子さんは話す。レジの奥は、ミシンが置かれた小さな工房になっていて、カラフルな糸もたくさん並ぶ。「カタカタ」という小気味いいミシンの音が聞こえてきた。

フェミニンカラフルな糸がたくさん並んでいる。
フェミニンカラフルな糸がたくさん並んでいる。

「ここでは、オプスデザインが手がける企画段階のサンプルもつくったりしているんですよ。『made in west』の商品サンプルも、ここでつくったものもありましたね」と松井さんが教えてくれた。

 

made in westとは、オプスデザインが関西の企業と一緒になって新しいものづくりに取り組むプロジェクト。これまでにつくった商品は20商品以上。prideliは、そんなmade in westのプロダクトのアンテナショップとしても機能している。

 

このプロジェクトがスタートするきっかけとなったのは、2011年4月にニューオープンした、東急ハンズ梅田店からのオファー。「オプスデザインにgalleryスペースの展示企画を立案してほしい」という内容だった。

可愛らしい内装の店内には、prideliがセレクトした雑貨と一緒にmade in westのプロダクトも並ぶ。奥の壁に飾られているのは、ネオンによる身近な照明を提案するプロジェクト「oncan」による新作。
可愛らしい内装の店内には、prideliがセレクトした雑貨と一緒にmade in westのプロダクトも並ぶ。奥の壁に飾られているのは、ネオンによる身近な照明を提案するプロジェクト「oncan」による新作。

そこで、オプスデザインが提案したのは、関西にあるものづくりの企業と一緒にプロダクトをつくり、それらを店舗オープンに伴う商品の仕入れ予算のなかで買い取りを考えることはできないかというもの。

 

「自分たちが、ものづくりをするうえでたくさん助けてもらった東急ハンズだったからこそ、何か新しいものづくりのかたちを模索したかった。限られた予算のなかで何ができるか。

 

もともと、関西には、独創的で高い技術のものづくりが浸透しているという実感があったので、みなさんの力を発揮してもらい、東急ハンズ梅田店のオープンにふさわしい、関西発の新しいプロダクトがつくれるはずだと。早速、企業や職人さんに提案すると、快く賛同してくれて。そこに、東急ハンズのMDも加わって商品開発がスタートしました」

 

そう話してくれたのは、made in westのプロジェクトマネージャーを務める、オプスデザインの神崎恵美子さんだ。

左から神崎さんと松井さん。
左から神崎さんと松井さん。

オプスデザインは、prideliという場で、雑貨をつくったり、販売しているが、他店のために商品づくりを手がけることは少ない。まず、東急ハンズの売場を考慮したうえで、生活雑貨や文房具などにジャンルをしぼった。そして、関西の地場産業を調査。ある程度つくるべきものが見えてきたら、日頃から仕事でお付き合いのあった大阪府商工労働部商工振興室ものづくり支援課に相談。それぞれ組合や企業を紹介してくれ、現地まで同行してくれたという。

 

「大阪府の方が同行してくれたのは強みになって、すごく感謝しています。それに、関西の企業さんていい人たちばかりで。ほとんど断られることはなかったですね。ある大阪の企業の方は、“やっぱり、大阪を元気にしないとな”って、プロジェクトへの想いを、すっと理解してくれて、本当にうれしかったですね」

made in westの商品。(上)イエローとグレーのインクジェット捺染が美しい松尾捺染株式会社とprideliの工房でつくったポーチ。(下)1枚の帆布を12分割してつくったという大きさの違うポーチ。
made in westの商品。(上)イエローとグレーのインクジェット捺染が美しい松尾捺染株式会社とprideliの工房でつくったポーチ。(下)1枚の帆布を12分割してつくったという大きさの違うポーチ。

プロジェクトがスタートしたのは1月。5月に行う東急ハンズ梅田店での展示まで、スケジュールは半年もない。そんななか、made in westのプロジェクトからは、さまざまな商品が生まれていった。その商品や企業については後編で詳しく。

 

>>コロカルでは、made in westと一緒にものづくりをする、奈良県の「ヤマヤ」の工房を訪ねました。

⇒くわしくはこちらをどうぞ:COLOCAL

 

 

文・塚原加奈子 写真・嶋本麻利沙

prideli graphic lab.

【住所】大阪市中央区南船場2丁目4-19【電話】06-6125-1488 【営業時間】11:00〜19:00(月火水は休み)

http://www.prideli.net