香りの良いスパイスでも単品で入れ過ぎて失敗した経験がある方も多いと思います。実は、スパイスを入れる際は単品ではなく複数を少量ずつブレンドすることで失敗も少なく、より美味しく仕上げることができるのです。
スパイスの組み合わせに「こうでないといけない」という決まりはありません。料理する素材とスパイスの相性を見つけることもスパイスの楽しみ方のひとつ。楽しみながら自分好みの組み合わせを見つけていきましょう。
今回はその一例として、ナツメグと一緒にアレンジしやすいスパイスを3種類ご紹介します。
まずはナツメグの特徴を知り、似た香りのスパイスを合わせてみよう
例えばナツメグの芳香は甘くまろやかな中に、ほろ苦さがあります。その芳香は肉の臭みをカバーする「マスキング効果」があるのです。とは言え、スパイスはさじ加減が難しく、肉の臭みを消す目的でたくさん入れ過ぎてしまうとナツメグ臭い料理になってしまうので注意が必要です。
スパイスには素材の臭みをカバーするだけでなく、スパイスで全体の香りのバランスを取ることもできます。つまりスパイスを複数加えて、それぞれの芳香が複合されることで、ナツメグ臭を薄れさせることができるのです。このような現象を「ブレンド効果」と呼びます。ブレンドは、似たような香りのスパイスを組み合わせることによって、よりブレンド効果を高めることができます。
ではナツメグにはどんなスパイスを組み合わせることが効果的なのでしょうか。
同じ精油成分をもつスパイス加えると、バランスの取れたマイルドな香りに
スパイスの香りは「精油成分」と呼ばれる、複数の芳香成分からなっています。ナツメグに含まれている精油成分は主に「オイゲノール」という成分です。オイゲノールを含むスパイスには、ナツメグの他にオールスパイス、クローブ、シナモンなどがあります。
香りが似ているスパイスは、合う料理もほぼ同じなので、これらを組み合わせてみることから始めてみると良いでしょう。
料理にナツメグを多く入れすぎてしまった、またはナツメグ臭が強いな……、と感じたときはオールスパイスをひと振り加えるだけで不思議とナツメグ臭が和らぐはずです。
もちろんオールスパイスも入れ過ぎは禁物。オールスパイスを加えるだけでなくクローブ、シナモンなども少量ずつブレンドしてみるとさらにナツメグ臭を和らげることができるでしょう。この組み合わせもまた自由なので少量ずつお好みで組み合わせてみてください。
スパイス活用レシピ「パン耳ぐるぐるフレンチトースト」
- 食パンの耳(6枚切り)・・・6枚分
- 牛乳・・・150ml
- 卵・・・1個
- 砂糖・・・大さじ1強
- ナツメグパウダー・・・二振り
- オールスパイス・・・一振り
- オールスパイス・・・一振り
- バター・・・大さじ1強
- いちご・・・適量
- 粉糖・・・適量
- メープルシロップ・・・適量
- シナモン・・・適量
- 牛乳、卵、砂糖、ナツメグ、オールスパイス、クローブを合わせて泡立て器でよく混ぜあわせ卵液を作り、パン耳をトレイに重ならないように並べて卵液を染みこませます。
ナツメグの「肉の臭みを和らげる効果」は、肉系の臭みを持つ乳製品や卵料理にも有効です。そのため、卵をたっぷり染み込ませたフレンチトーストにはナツメグがおすすめです。さらにナツメグの香りをやわらげる目的としてオールスパイス、クローブを加えます。
- 内側にバターを塗ったセルクルをフライパンの上に置き、さらにフライパンにバターを入れて溶かします。そして、セルクルの中にパン耳をうずまき状に詰めていき両面焼き色がつくまで焼きます。
フレンチトーストの場合は、バニラエッセンスを加えることが多いと思いますが、クローブもバニラの香りがするためバニラエッセンスと同じ役割として使うことができます。クローブは熱にも強く、香りが消えることも少ないので焼き菓子に加えるのがおすすめです。
- セルクルを外し器に盛り、いちごを乗せて粉糖を振り、メープルシロップをたっぷりかけてできあがりです。仕上げにシナモンをふりかけると、アクセントがついて一味違ったフレンチトーストになります。
スパイスの風味をさらに引き出すテクニックとしては、スパイスを加えるタイミングも重要です。ナツメグは熱を加えることによって香ばしさが発揮されるため、火を通す前に入れるのが理想です。同様の性質持つオールスパイス、クローブも火を通す前がおすすめです。スパイスによってはシナモンのように仕上げとしても使えるものがありますので、好みに合わせて組み合わせてみてください。
今あるスパイスと相性を考えて買い揃えてみましょう
今回は、「ナツメグ」と相性の良いスパイスを、3種類(オールスパイス、クローブ、シナモン)ご紹介しました。スパイスを買い足したいという方は、まずこちらからそろえてみると良いでしょう。また、スパイスは作りたい料理によって新しく選ぶのではなく、今あるスパイスから相性の良い料理を探しだすことで無駄にすることなく活用できます。
スパイスを揃える際のポイントは「似たような香りをもつスパイス同士を組み合わせる」とご説明しましたが、必ずしも精油成分を知らないとブレンドができないわけではありません。香りも含め、好みは人それぞれ違いますので自分の感覚で「この芳香は似ているかな?」と試してみながらスパイスのブレンドを楽しんでください。