くらし

"花のローテーション"で、生花を長く楽しむ

新スタンダード講座「いつも花のある暮らし」 vol.3

日々の生活を癒してくれる“花”をもっと気軽に楽しんでみませんか? 第3回は生花を長く楽しむコツ。

くたびれた花をそのままにしておくと、花の色はどんどんくすみ、部屋の雰囲気も暗くなりがち。だけど、そのまま捨ててしまったらせっかくのお花がもったいない!

 

茎を切り戻すと元気になることもあるので、花の長さに応じて少しずつ器や置き場所を変えてみましょう。

 

生花を長く楽しむコツをいけばな教授者の渡来徹さんから教わります。

新鮮な花を手に入れる。

まずは花を長く楽しむために、枯らさないよう努力する必要があります。なるべく新鮮な花を入手するために、自分が飾る曜日に合わせた花屋さんの入荷パターンを知っておくといいかもしれません。

 

「多くの花屋は月・水・金曜日の朝に市場で仕入れを行います。特に週末は花を買い求める人も多いので、金曜日と明けて月曜日は花の種類、量ともに充実している場合が多いです」と渡来さんが教えてくれました。例えば、花を会社に飾るのであれば、月曜日に。週末に家で花を楽しむのであれば、金曜日の夜に買うと、新鮮な状態の花を長く楽しめるそうです。

 

また、花のお手入れにも長持ちさせるコツが。水の取り替えは基本毎日行うことが大切なのだそう。水を吸い上げやすくするために茎を切ったり、水が腐らぬよう水に浸かった葉を取ったりと、こまめな手入れが花の寿命を延ばします。

 

「お花への気遣いを」と言う渡来さん。“飾って終わり”ではダメなのです。

生花のローテーションでお花を最期まで楽しむ。

今回使用した花は、ダリアとりんどう。秋の草花を代表するりんどうもダリアも手軽に手に入ります。
今回使用した花は、ダリアとりんどう。秋の草花を代表するりんどうもダリアも手軽に手に入ります。

生花をもらったり買ってきたら、まずは花器に入れて数日はその光景を楽しめますが、時間が経つにつれどんどんしぼんでいったり、枯れていったり。これは生花の定めでもあります……。でも当然ですが、一気に全てが枯れるわけではありません。

 

大きな花は少しずつ外側から枯れていきますし、他の草花よりも日持ちする花も中にはあるのです。それらを見極めて、ちゃんと最後まで面倒を見るということが大事。

 

今回は、花のボリュームや具合を見て、それに応じて渡来さんにいけ直していただきました。

新しい花器にいけ変える渡来さん。まだまだ元気なりんどうは高さを変えて。
新しい花器にいけ変える渡来さん。まだまだ元気なりんどうは高さを変えて。

花びらのふちのにじみ出るような赤い色がすてきなダリアのラ・ラ・ラ。花びらが枯れてきたら、潔くその花びらは取りのぞいてしまいましょう。

 

渡来さんは器の縁に花がのぞくようにバランス良くいけ変えました。弱っている花は水の吸いあげを良くするために、今回は10cmほど茎を切りました。茎の長さに合わせて器もサイズダウン。最初の花器よりも少々深さのあるボウルを利用しました。

まずは第一段階。ダリアのボリュームを減らし、りんどうの茎の高さと葉と花を少し取り除きました。
まずは第一段階。ダリアのボリュームを減らし、りんどうの茎の高さと葉と花を少し取り除きました。

そして最終形態。まだ鑑賞できる花の花首だけ残して小さな器(おちょこやぐいのみ、ショットグラスなども◎)にいけました。窓際やトイレ、キッチンなどの水回りに置くと、ふと目にしたときに心安らぐ存在になります。普段花を飾らないような場所にもチャレンジしてみたいですね。

 

最後まで花を楽しむことが、花を贈ってくれた人への感謝や長く楽しませてくれた花への感謝にもなるのです。

最終形態。ちょこんと添えられたりんどうに季節を感じます。
最終形態。ちょこんと添えられたりんどうに季節を感じます。

文・海老原悠 写真・ただ(ゆかい)

講師プロフィール

渡来 徹さん
いけばな教授者/いけばな教室兼花店『Tumbler&FLOWERS』主宰。いけばな小原流のかたちをもとに、ライター、編集者として積み重ねてきた経験や時代感をプラスし、今の生活空間に即した花を提案している。教室ではいけばな小原流が学べる「資格コース」と単発の「実用いけばなレッスン」が選択可。11、12月はクリスマスリース作りや正月花のワークショップも開催。詳細はHPで。