くらし

僕らが椅子を選ぶ理由。

NPデパート探検隊 for men vol.7

僕らが椅子を選ぶ理由。
日々、ECサイトという“巨大デパート” を探検するこの企画。日々デスクに向かう(はずの)ライターが選んだ、デスクチェアのポイントは。

前回のベルトが壊れちゃった話に引き続き、今回は椅子が壊れちゃったの巻。

 

デスク用のチェアが壊れてしまったのだ。10年以上使っていたやつだ。そもそもが間に合わせのつもりで買った数千円の安い椅子だった。よくぞ10年も頑張ってくれたぞ、ありがとう。

 

10年ぐらい前だと、「アーロンチェア」なんてのが流行っていた時代だ。人間工学に基づいたグッドデザインの高機能チェア=IT社会のできる男の象徴、みたいな時代。アーロンチェアに対抗して、凝った造りのデスクチェアを各社が競って発売していた。

 

ショールームへ行って、いろんな椅子に座ってみたりもした。いつか俺も最高の椅子を、と思いつつ、とりあえずの間に合わせで安い椅子を買ったのだった。

 

その間に合わせを10年使い続けてしまい、ついに壊れたのだ。これはもしかすると、今こそ理想の椅子を買えという神の啓示かもしれない。今でしょ、じぇじぇじぇ、倍返しでおもてなしだ、の時なのかもしれない(こんなこと書くと半年後には恥ずかしい、いや今でも十分に恥ずかしい文章だが)。

 

うん、マジに考えてみよう。やはりライターとしては、デスクチェアは商売道具じゃないか。

 

......というのはウソである。

 

私は原稿書きにはノートブックを使っていて、ほとんどリビングのちゃぶ台やベッドの上で仕事している。デスクトップのマシンに向かうのは、映像を見たり趣味的にiTunesをいじったりする時だけなので、プロ用のデスクチェアは本当のところ私には必要ないのだ。

 

でも、座り心地のいい高機能チェアは最高だぞとも思う。いい椅子を買えば生活が変わるような気もする。欲しい気持ちが半分、やっぱやめとくかという気持ちが半分。ああ悩ましい。

 

それでもとにかく、椅子は必要だ。ヘビーユーズはしなくとも、なくては困る。というわけで、とりあえず安い椅子を探してみた。ネットを探ってみると、10年前に比べて安い椅子の種類がすごく増えていることに気づいた。デフレなのだなあ。

 

よりどりみどりの中から選んだのが、今回の商品である。なんかシャレすぎてないか、気取ってないかという気もする。肘掛けがないのはデスクチェアとしては使いにくそうな気もする。

 

しかし、いかにも事務用、いかにも書斎用というデザインではないので、リビングやキッチンカウンターなどでも使えそうではないか(実際、そこがセールスポイントらしい)。もしも後で高価な高機能チェアを買ったとしても、これなら別の用途に使えそうだというのがポイントである。

 

壊れて使えなくなるまで、捨てたくないもんね。

STITCH オフィスチェア
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文・黒住 光
ライター・脚本家。雑誌『TARZAN』『SPA!』などで映画レビュー、コラムなど執筆。脚本作品にドラマ『まほろ駅前番外地』、アニメ『おでんくん』『美肌一族』『ズモモとヌペペ』など。共著に『SF宇宙映画の逆襲』『裸のシネマ』など。元・日本美女選別家協会会員。