毎日暑い日が続くと食欲も落ちてしまって、偏った食事メニューでスタミナ切れを起こしたり、さらには、冷房の効いた室内と、カンカン照りの屋外での気温差にやられて体に不調のサインが出てしまったり。そんな夏にこそ、食生活を見直したいものです。だけど、この茹だるような暑さ。キッチンに立ってコンロの火を扱うのもなんだか辛い......。
ということで、今回は日本最大のレシピサイト「クックパッド」の本社に伺い、この夏大活躍しそうな簡単スタミナ料理を教わってきました。前編は火を使わない料理、後編はひと皿でバランスよい食事が取れる料理をご紹介します。
レシピを教えてくれる講師は、クックパッドでメディア事業に携わりながら栄養士の資格も持つ尾花友理さん。ちなみにご自身は、「夏場も食欲は落ちないほう」だそうです。尾花さんにスタミナ料理を習うのは、エディターの塚原加奈子さん。「仕事の関係上、食べる時間はバラバラ。夏は特に食欲がわかず、冷たいそうめんをよく食べます。なんだかスタミナも切れがちで、そういえばこれって夏バテかなぁって......」
そこで、クックパッドの「プレミアムサービス」の会員しか閲覧できない「専門家が選んだ目的別厳選レシピ」の「夏バテ防止レシピ集」から、今回は特別に尾花さんがレシピをセレクトして紹介。クックパッド本社名物の広〜いカウンターキッチンで披露してくれました。
「韓国風 カツオのたたき」(by motchanさん)
カツオは春と秋の2度旬のある魚です。8月の下旬から市場に出回る秋のカツオは「戻りカツオ」と呼ばれ、脂の乗りが抜群! そんな第2の旬を迎えるカツオですが、いつもポン酢に少々の薬味、とワンパターンになりがち。たまにはこんなアレンジもいかがでしょう?
千切りしたきゅうりを皿に敷いて、カツオのたたきを乗せ、白髪ネギと薬味たっぷりのちょっとピリ辛なタレをかければ、サラダ仕立ての韓国風カツオのたたきのできあがり。
そもそもカツオはなぜ夏によく食べられるのでしょうか。
「カツオは、たんぱく質・鉄分・タウリンを含むので、夏バテに効果があると言われています。たんぱく質は不足すると疲れやすくなりますね。鉄分が不足し、貧血気味になると全身に栄養や酸素が行き渡らないため、だるさや息切れの原因に。タウリンは肝機能を高める効果があります」
と、尾花さん。それを聞いた塚原さんは、「いまの夏バテ気味の私の体に欲しい効果がたくさん(笑)。カツオにそんな高い栄養素が含まれているとは」と身近な食材を見直した様子。さらに、タレにたっぷりと使用した生姜やネギ、ニンニクは血流を良くする効果が。タレに入ったお酢と一味唐辛子の効果で食欲も増進されるので、夏バテの救世主となりそうです。
塚原さんも試食後、「夏になると我が家でもよく食卓にのぼるカツオですが、この簡単アレンジはぜひ家でも試してみたいですね」と話してくれました。
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「超特急!!きゅうりの冷製スープ♪」(by オレンジデイさん)
「これは意外! どんな味か想像できない!」と一同声をあげたのがこのレシピ。材料は、きゅうりに牛乳、コンソメ、そしてヨーグルト……!
「ギリシャ料理に“ザジキ”という、きゅうりとヨーグルトを合わせたサラダがありますが、それにインスピレーションを受けたのかもしれませんね」と尾花さん。さっぱりとした後味が特長の冷たいスープは、その手軽さにも驚き。
おろし金できゅうりをたっぷりおろしたら、溶けやすい顆粒のコンソメを加え、牛乳とヨーグルトを混ぜるだけ。ガラスのカップに入れて涼しげな演出を忘れずに。
「シャリシャリとした食感が楽しい、清涼感のあるスープですね。ヨーグルトとコンソメの組み合わせは、少しマヨネーズっぽい風味を感じさせます。まさに“飲むサラダ”ですね」と塚原さんが話せば、尾花さんも、「確かに! “飲むサラダ”! しっかり冷やすと一層おいしいと思います。夏野菜の代表格、主役のきゅうりはカリウムを含むため利尿効果があり、それにより体にたまった熱を冷ます効果があります。まさに夏に必要な栄養を含んでいます。腸内環境を整えてくれるヨーグルトと合わせるというアイデアもいいですね」
なにより、通常冷製スープを作るときの【材料を柔らかくなるまで煮込む → ミキサーやブレンダーにかけてスープ状にする → 冷やす】という時間がかかってめんどうな工程が必要ないというのも嬉しい! 急にお客さんが来た時の、おしゃれなおもてなし料理としても活躍しそうです。
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専門家のコメント
「鰻とアボカドのカフェ丼風〜わさび風味〜」(by 鮎めし♀さん)
夏のスタミナ対策代表と言えば鰻! ただ、昨今の値上がりにより、なかなか口にできないという人も多いのでは?
鰻の量が少なくても、立派な“うな丼”ができちゃうんです。しかもボリューム、栄養バランス、おいしさも文句無し。夏のランチにもおすすめなレシピです。
このうな丼のポイントはアボカド。まったりと濃厚なコクと風味を持つアボカドは、ご存知、“森のバター”と言われるほど栄養満点。
「アボカドは、ビタミンEとカリウムが豊富に含まれています。カリウムは体温を下げ、熱中症予防に効果がありますが、汗で失われてしまいがち。だから、アボカドを夏に食べるといいんですよ」
また、ビタミンEは「若返りのビタミン」と呼ばれ、美肌効果もあるそう。積極的に摂取していきたいですね。尾花さんは、手早くアボカドの種を除き、薄めのくし切りにしました。
主役の鰻は、500wのレンジで1分20秒ほど温めてスタンバイ。熱しすぎると身が固くなってしまうのでご注意を。
「鰻は皮のヌルヌルには、ムコ多糖類という成分が含まれていて、胃腸の働きを助け、疲労回復を増長させます。また、ビタミンAは夏風邪予防に効果的。粘膜を丈夫にし、免疫力を高めますよ」と尾花さんは話します。実は鰻は脂の乗った冬場のほうがおいしいそうなのですが、夏に食べるべき理由がちゃんとあるのですね。
鰻とアボカドを彩りよく乗せたら、卵黄を上にトッピング。さらに尾花さんはひと手間加えます。鰻の甘辛いタレにわさびを合わせて、上から回しかけました。考えてみると、鰻の白焼きにわさびを添えたり、アボカドを醤油とわさびでいただいたりと、わさびはこのふたつの食材と相性抜群。鰻とアボカドの一体感を演出するのが、わさびなのです。
試食をしてみて、「わさびの爽やかな風味がよく合うと思います」と塚原さん。尾花さんも「この丼の組み合わせはいいですね。彩りもキレイ。特に女性は好きなのではないでしょうか」と絶賛。ふたりとも箸が止まらない様子でした。
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専門家のコメント
火を使わない料理ということで、「キッチンに立つのがずいぶん快適だったように感じられます」と塚原さん。夏場は食材が傷みやすいので、加熱して食べなければいけない食材は必ず加熱し、生食でも、まな板や包丁などの器具を清潔に保って調理しましょう。
「忙しい毎日で、なかなかキッチンに立つ時間がない」と話す塚原さんですが、今回尾花さんに習った簡単にできる料理レシピで、ひと夏を乗り越えられますように!
次回は、ボリューム満点の丼と、そうめんのアレンジレシピをご紹介します。
クックパッド
文・海老原悠 写真・川瀬一絵
クックパッド
国内最大のレシピサイト。なんとその投稿数は179万件!今回紹介した「専門家が選んだ目的別レシピ」のほか、人気のレシピがわかる人気順検索、管理栄養士が選んだ毎日の献立集や、レシピが3000件保存できる機能などが利用できる「プレミアムサービス」は、月額280円(税抜)