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鍋の博物館で「最強の鍋の選び方」について聞いてきた

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鍋の博物館で「最強の鍋の選び方」について聞いてきた
何となく「家にあるもの」をずっと使ってしまいがちな鍋。そろそろ買い変えないと…というときに、何を基準に選びますか? 値段? デザイン? それとも、機能性?

鍋なんてどれも同じでしょ、と思っているあなた。鍋と言っても、その用途や特徴はさまざま。これらを踏まえて鍋を選べば、より調理が楽しく、料理の味がぐっと良くなる可能性があります。

 

今回はそんな「最強の鍋」を選ぶ時に抑えておくべきポイントを、浅草にあるお鍋の博物館で伺ってきました

まず抑えるべきポイントは「熱の伝わりやすさ」と鍋の素材の「厚さ」

鍋を選ぶとき、まず注目するべきポイントは2つあるそうです。

 

1.熱の伝わりやすさ

熱の伝わりやすさ=熱伝導率は、素材となっている金属によって変わります。熱伝導率が高いほど短時間で温めることができ、熱伝導率が低いほど熱が伝わりにくいので温まりにくくなります。

 

2.鍋の素材の厚さ

2つ目のポイントは鍋の素材の厚みです。厚い方が丈夫で、熱が均等に伝わりやすいので温度にムラが無くなります。薄いと熱がダイレクトに伝わりやすくお湯が早く沸くので、下ゆで等に向いています。

 

この2つをふまえると、下茹でや味噌汁等を作るための鍋が欲しければ鍋の素材の暑さが薄いもの、煮込み料理などじっくりと加熱するための鍋が欲しければ熱伝導率が良く、厚い鍋といったように、選び方が変わってきます。

徹底比較! 鍋でよく使われる4つの素材

鍋を選ぶポイントである「熱伝導率」と「厚さ」を確認した上で、鍋によく使われている素材の性質を確認しましょう。それぞれにメリットやデメリット、向き不向きがあるので、目的に応じた選択が必要です。こちらの表を踏まえて、それぞれの素材を詳しく紹介していきます!

 

熱の伝わりやすさNo.1

銅は、鍋に使われている素材の中で、熱伝導率が一番良い素材です。値段も高価になりますが、料理全般、銅の鍋を使えば間違いないと言われるくらいおすすめです。特に「煮込み料理」は温度が鍋全体に伝わり、食材が均等に煮えるので美味しく仕上がるのでぜひ使ってほしい素材です。

 

お手入れには細心の注意が必要

お手入れが大変、というのが銅の難点の1つ。ですが、銅のなべの内面の加工を傷つけないように「空焚きをしない」こと、使い終わった後は、中に料理を残したままにせず、すぐに台所用中性洗剤で洗ってしっかり乾燥させることの2点を日頃から心掛ければ長く使うことができます。

アルミ

 

手軽に調理がしやすい軽さ

アルミは、銅ほどではないものの、充分に熱伝導率が良い素材です。アルミは、鍋の素材の中でも特に軽いので調理の機動性が抜群に良くなります。煮たり茹でたり、料理全般、何でもささっと対応できるのがアルミの鍋のメリットです。

 

しっかり手入れをしないと焦げやすい

アルミは油なじみが悪いので焦げやすいのがデメリット。こげつき防止のために、使用前にお米の研ぎ汁か、野菜の葉切れを水と一緒に鍋に入れて煮立てるのが効果的です。また、酸やアルカリによって黒ずんでしまった場合、クレンザーなどの研磨剤の入った洗剤を適量つけてスチールタワシなどで磨けば落とすことができます。黒ずみは人体には害はないそうです。

 

お湯にひたして、たわしでこするだけの楽ちんお手入れ

鉄は錆びやすくてお手入れが大変だというイメージがありますが、実は使った後すぐにお湯にひたして、たわしでこする程度でお手入れは充分。表面がぬめぬめしがちですが、それは汚れている訳ではなくて、鉄の油を蓄える性質が理由なので気にしなくて大丈夫だそう。しっかり乾かすのもお忘れなく。また、油なじみが良く、油を使う料理は短時間でパリっとした仕上がりになるので炒め物やフライなどで使うのに断然おすすめです。

 

女性は使う前に重さのチェックを

鉄は、他の鍋よりも重さがあるのがデメリット。また、さびやすいので、簡単なお手入れですが、手を抜かないように注意が必要です。

ステンレス

 

最も丈夫な鍋

ステンレスは鉄を主成分としてクロムなどを混ぜた合金素材です。そうすることで、「錆びにくく」「衝撃に強い」ものに改良されているので「手入れがしやすい」というメリットがあります。また、銅や鉄、アルミと違い、酸性やアルカリ性に偏った料理を入れたままにしていても問題ありません。お手頃な価格なのもうれしいポイントです。

 

温度のムラができやすい

ステンレスは熱伝導率が悪く、鍋の周りがあたたまりずらいのがデメリットです、そのため、温度のムラができて、かぼちゃなど火が通りにくい食材に芯が残ったりしがちです。料理の際には、火加減に特に注意が必要です。

磁石で見分ける! IH対応の「良い」鍋の選び方

電気の力で電磁力を発生し、鍋をあたためる「IHクッキングヒーター」はガスコンロに比べて、周囲が熱くならず火を使わないので安全。しかも掃除もラク、というメリットがあって人気です。

 

そんなIH対応の鍋として優秀かどうかは、磁石が四方にどれだけしっかりとくっつくかどうかを見れば判断ができます。

 

写真の右側の水色のフライパンはもともとIHに非対応なものでしたが、底に丸型の加工を施すことでIHの電磁波を受けられるようにしたものです。これは安めの製品によくあります。底にだけ磁石はくっつき、横面はつきません。そのため、底からの熱しか受けることが出来ないので熱にムラができがちです。

 

IH対応の性能の良い鍋を使えば、ガスコンロよりも3倍火力が強く3倍立ち上がりが早いので非常に使い勝手が良くて味も良い出来になります。

これだけは用意しておくべき! 生活に必要な調理器具3選

以上、素材の性質を紹介してきましたが、家庭に最低限必要な調理器具を伺いました。

1 : 煮込み用の大鍋

 

カレー・シチュー・おでん等、煮込み料理は食卓で欠かせないもの。これには、長時間煮込むための容量の大きな鍋が欠かせません。大きな容量でも中身全体をまんべんなく温めることが可能な「銅」や「アルミ」がおすすめ。短時間でまんべんなく食材を芯まで温めることができる、煮込み用の大鍋は日常で重宝すること間違いなしです!

2 : 手なべ

 

ダシをとったり、お湯をわかしたりするのに使う「手なべ」。これには熱伝導率も良く、軽いアルミ素材のものをおすすめします。アルミなら熱伝導率が良く、温まりやすいので長持ちする板厚が厚めのものを選びましょう。

3 : フライパン

 

フライパンは、炒め物や揚げ物をしたりするとき等、しっかりと高温で調理する時に使うものなので、熱に強い鉄がおすすめです。くっつかないようにテフロン加工したものを選ぶのも良いですが、空焚きは絶対にNG! テフロンが痛んでしまいます。テフロン加工の効果が落ちて食べ物がくっつきやすくなった時に「テフロン加工がはげた」と思われがちですが、はげることは無く、から焼き等の熱による劣化のために生じるものなのです。

自分にとっての「最強の鍋」を見つけてみましょう

1度買うと長い期間、同じものを使い続けられるのでめったに選ぶ機会の無い「鍋」。このような性質を知ると、自分の好みに合ったものを選びたくなるのではなりますよね。まずは自分がよく調理するものから「こだわりの調理器具」に変えてみてはいかがでしょうか。

 

長く使えるものなので少しずつ買い変えて「最強の鍋」をあなたのキッチンに揃えてみませんか?

お鍋の博物館(中尾アルミ製作所)

場所:東京都西浅草2-21-4(合羽橋道具街中央)
電話:03-5830-2511

http://www.nakao-alumi.jp/index.html

文:鈴木彩華
栃木県出身。理系出身なので、素材の性質などを勉強するのが楽しい料理初心者です。