私たちが今回おじゃまさせていただいたのは、タビオの協力会社のひとつである奈良県の「関屋莫大小(セキヤメリヤス)」。
工場をのぞかせていただくと、いくつもの機械が音を立てながら靴下を編み立てていました。
ところで皆さんは、靴下がどのようにつくられているか知っていますか? タテ糸とヨコ糸で構成される布と違い、実は靴下は編み物と似た構造。
しかし編み物と違い、靴下には「裏糸」と呼ばれるナイロン、もしくはナイロン・ポリウレタンを素材とする伸縮性のある糸が同時に編み立てられています。この裏糸を一緒に編むことにより、足を包みこむようにフィットする伸縮性のある靴下になります。
実際に靴下が編み立てられている様子を見に、工場の1階へと案内いただきました。
フロアには100台近くもの編み機が並び、わずか8人でその全部を管理しています。ちなみに機械のメンテナンスや修理はもちろん、部品の改良まで職人さんたちが自ら行っているのだそう。
編み機の中にあるシリンダーと呼ばれる円筒形の針床が回転し、リリヤンのように円筒状に編み立てられていく靴下。
眺めているうちに、どの機械も途中で回転がゆっくりになる瞬間があるのに気付きました。聞くと、これは回転を半回転変えて「ゴアライン」と呼ばれる踵とつま先の編み目を編む工程なのだそう。
「このゴアラインは穴があいたり、裏糸が出てしまったり、一番トラブルが起こりやすいんですよ。このゴアラインの長さを短くすれば、半回転させる時間が短くなる分、生産量も上がります。でも編み立ての工程を減らしてしまうと、すごく窮屈な靴下になってしまうんですよ」と話す工場長。
しかしタビオの工場では生産性よりも履き心地が重視され、どの靴下も時間をかけてゴアラインがしっかりと編まれています。これにより踵があわず、靴の中で靴下がずれてしまうのを防ぎ、つま先にもゆとりが生まれるので、靴下を履いたときに窮屈さを感じることがなくなるのです。
続いて工場の2階へと案内してもらうと、そこで行われていたのは円筒状に編まれた後に裁断された靴下のつま先が縫われている作業。職人さんたちが手際よく片足分ずつ機械にセットして縫い、見なれた靴下の形が現れます。
その後、検品され「パッカー」と呼ばれる留める具をつけられたり、台紙を入れられたり、タグをつけたりと、商品ごとに異なる工程を経てパッケージされていく靴下たち。どの工程も基本的には人の手が入ります。
いくつもの工程を経てお店で見かけるのと同じ姿になった後は、10足ずつ箱に梱包されて奈良県にあるタビオの物流センターに納品され、そこから国内外の店舗へと旅立って行きます。
何人もの職人さんの手をかけられ、完成するタビオの靴下。上質な素材と高い技術でつくられているにもかかわらず、価格は実に良心的。
どうしてそんなことが可能なのか商品部・佐藤穣次さんに訊ねると「原料も年々上がり続けていますが、企業努力で販売価格を維持し続けています。履き心地の良い靴下を、より良心的な価格でお客さんに提供するのをタビオはモットーにしているので」という答えが。
「皆さんは何足もの靴下を持っているじゃないですか? でも同じ靴下を繰り返し選んで履いている場合が多いんですよ。そのときの自分にあっているものや、履き心地の良いものを何回も」と、広報・伊藤真由さん。
「自分では選べていないつもりでも、意外と無意識に良い靴下を選んでいるんですよ。でも引き出しの奥には買ったものの、あまり履かれていない靴下って絶対にあると思うんです。引き出しの中の靴下を全部タビオのものにしていただいて、選ぶことなく全部履いてもらえるよう、さまざまなバリエーションの靴下を用意したいと私たちは考えています。やっぱり靴下にとって一番かわいそうなのは、履いてもらえないことですから」
一度に全部の靴下を買い替えることは難しいかもしれませんが、新しいお洋服を買うときは、一緒にタビオの靴下も一足買ってみませんか? あらゆるデザイン、あらゆるカラーが揃っているタビオなら、新調した洋服とマッチする1足ときっと出会えるはず。そしてぜひ“Made in Japan”の製品が持つ実力を、足元から感じとってみてください。
文・林みき 写真・後藤武浩
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