9月に入って少し涼しくなってきましたが、溜まった疲れがどっと出る頃ではありませんか?
「暑くて食欲がなく、喉ごしのよい麺類だけといった食生活を繰り返していると、実は体は上手にエネルギーを作れなくなってしまいます」と管理栄養士の尾花さんは話します。
「私たちの体を動かすエネルギーになるのは主に炭水化物。ですが炭水化物だけを摂っても体の中で上手にエネルギーに変えることができません。そこで、ワンボウルで夏の疲れを解消できる簡単レシピをご紹介しましょう」
「ゴーヤと豚肉と麩の卵とじ丼」(by ヌーシさん)
クックパッドのプレミアムサービス会員しか閲覧できない「専門家が選んだ目的別厳選レシピ」の「夏バテ防止レシピ集」の中から、まずは今回特別に尾花さんがセレクトした「スタミナ丼」をクックパッド本社のキッチンからお届けします。尾花さんに料理を習うのは、「夏はスタミナが切れがち」と話す塚原加奈子さんです。
夏野菜を代表するゴーヤ。昔は沖縄料理のイメージが強かったゴーヤですが、いまではスーパーでも一年中手に入るようになりました。今日は脱ゴーヤチャンプル。食感が楽しい丼にすれば、食べやすくてヘルシーで、子どもから大人まで喜んで食べられるようになります。
まずは、ゴーヤ。
「わたの部分が苦み成分となるので、しっかりとスプーンでかき出してください」
との尾花さんの指示で、塚原さんはスプーン片手にゴーヤの下ごしらえに取りかかりました。ゴーヤは疲労回復に効果があり、あの独特の“苦み”は肝臓の解毒機能を助けるそう。
「肝臓はエネルギーの代謝に関わる臓器です。肝臓の機能が下がると、肝臓に蓄えた糖をスムーズに活動エネルギーに変えることができません。その結果、疲労感や倦怠感につながります」と尾花さん。
わたを取り除いたゴーヤは、3mmほどの半月切りにして、塩でもんで10分ほど置きました。
このひと手間で、ゴーヤはシャッキリ。食べやすくなるそうです。
ゴーヤと合わせるのは、豚バラ肉と麩と卵。
「豚肉はビタミンB1が豊富。ご飯と合わせると、ご飯の糖をエネルギーに変える働きを助けます」
スタミナ料理の定番の豚肉ですが、ご飯と合わせることで効果を発揮。豚バラ肉のカロリーが気になるところですが、このレシピでは、麩を入れて豚バラ肉を少なめにすることでかさ増しと多少のカロリーダウンの効果が。見た目以上にあっさりと食べられるのです。
これらの材料を調味料で煮立てたら、卵でとじて完成。
「おかずとして出しても家族に喜ばれそうですね」
という塚原さんの声にも納得です。
⇒「ゴーヤと豚肉と麩の卵とじ丼」:レシピはこちらから
専門家のコメント
「スープも手作り☆そうめんフォー」(by Y’sさん)
夏の献立を考えるときに、やはり手軽で冷たいものを欲しがち。となると、自然と「そうめん、ざるそば、冷やし中華」のローテーションなんてことはありませんか? しかし、尾花さんは「冷たい食べ物ばかり食べていると、胃が冷えて消化機能が低下してしまいます」と話します。
しかも、エアコンの冷気にさらされて、ただでさえ夏は冷える時期でもあります。
「暑い屋外と、エアコンが効きすぎて寒い室内を行き来すると自律神経が乱れがち。また、1日のほとんどをエアコンの効いた室内で過ごすと、夏とはいえ体は冷えています。体温は筋肉でつくられるため、男性よりも筋肉量の少ない女性は特に冷え症になりやすいのです。冷え性はむくみ、肩こり、倦怠感、生理痛などさまざまな不調の原因になります。
そこで、“体を温めること”が夏バテ解消にいいと言われています。胃の中から温めて、夏バテ知らずの体をつくりましょう」
今回唯一時間をかけて作ったものが、(……と言っても、30分ほぼ放置なのですが)このフォー風そうめん。手羽先からじっくりとスープを炊いたので、ひと口すすれば、鶏の旨味がじんわりと染み渡り、スープも飲み干してしまうほど。エスニック風のすっきりとした味わいは飲んだあとの締めの一杯にも嬉しいですね。
「夏になると、クックパッドでよく検索されるワードがそうめんアレンジ。きっと麺つゆでの食べ方に飽きがきたり、余ったそうめんを活用したいのだと思いますが、そんな時にもこのレシピならマンネリ感も解消できていいですね」
と尾花さんは話します。
このレシピの“主役”となるのがスープ。
「ポイントは、骨のある鶏肉を使うことです。旨味は骨から抽出されるので」と尾花さん。手羽先、しょうが、ネギの青い部分、にんにくを入れた鍋をいったん沸騰させてから、弱火にしてあくをこまめにすくいながら約30分煮込みます。
「このスープだけで栄養がとれそう」
とあくを丁寧に取り除きながら話す塚原さん。めざすは、臭みのない透き通ったスープ! たくさん作って冷凍保存しておけば、カレーなどほかのレシピでも使えるそうなのでお試しあれ。
スープができたら、すべての具を取り出し、ナンプラーなどで調味します。茹でたそうめんに、この熱々のスープを注ぎ、ほぐした手羽先の身や万能ねぎ、スライスしたレモンなどを乗せれば完成。そう、スープさえできれば本当に簡単! しかも本格的なフォーの味が家庭で楽しめます。
「ホッとする味ですね。するすると食べられるので、夏バテ中の体にもよさそう。コラーゲンがたっぷりなので美肌にも効果がありそうですね」と塚原さんが話すと、
「肌のコラーゲンをつくるには、コラーゲンを含む食品とビタミンCが必要です。今回はレモンが加わることでビタミンCも摂取できるので、美肌効果が期待できますね。夏の強い紫外線を浴びた肌にぴったりのメニューですね」
と尾花さん。栄養満点のそうめんフォーは夏の定番化しそうです。
⇒「スープも手作り☆そうめんフォー」:レシピはこちら
専門家のコメント
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暑い暑い夏をしっかり食べて乗り切るアイデアが満載です。みなさんもこの夏チャレンジしてみては!?
クックパッド
文・海老原悠 写真・川瀬一絵
クックパッド
国内最大のレシピサイト。なんとその投稿数は179万件!今回紹介した「専門家が選んだ目的別レシピ」のほか、人気のレシピがわかる人気順検索、管理栄養士が選んだ毎日の献立集や、レシピが3000件保存できる機能などが利用できる「プレミアムサービス」は、月額280円(税抜)