ローリングストーンズの名曲『You Can't Always Get What You Want』には『無情の世界』という邦題がついている。「欲しい物がいつでも手に入るとは限らないぜ」という歌だから、「無情」よりも「無常」のほうが合っているのじゃないかと思う。
そう、世の中は無常なのだ。
買い物をしていて哀しくなるのは、「チクショー、人の足元見やがって」「アコギな商売しやがるなあ」みたいな人の無情に接するケースよりも、「ああ、前は普通に売っていたアレがもう手に入らないのか」という世の無常を悟って哀しくなることのほうが多い。
特に日本は使い捨て文化と、節操なく流行に右ならえの国。「定番商品」に対するリスペクトが薄い。何十年も慣れ親しんできたカップ麺が勝手にリニューアルして「生麺に近づけました」なんてことになってたりする。「バカヤロー、あのジャンクな食感がよかったんじゃねーか!」と文句を言っても時すでに遅し。
方丈記の昔から、わが国では「よどみに浮かぶうたかたは、 かつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし」である。『笑っていいとも!』も終わるし......いや、あれは32年も奇跡的に続いたので大往生だが。
古いものがあっさり捨てられていく背景には、ビジネスの論理がある。「つねに進化しなければ」「市場のニーズを敏感に捉え」「新たなニーズを生み出し」みたいな経営コンサルティング的な物言いにはウンザリだ。
しかし、「リアルな話、古いものをそのまま売り続けてもジリ貧で売れなくなってくだけなんですよ。それじゃ生き残れないんすよ。古いものを守って飢え死にしろって言うんですか!」と言われれば返す言葉はない。無常な世の中になる原因は、やっぱり人の無情なのかもしれない。
何でこんな繰り言を述べているのかというと、最近また無常感に襲われたからである。冬になったので、新しいセーターでも買おうかとネットショップを物色してのことだ。
ここ10年ほど、私の冬の定番アイテムはジップアップセーターだった。着脱したり、暖房が効きすぎてる時に前を開けたり、ジャージ感覚で気軽に着られる。ラフに着られて、しかし見た目はジャージやスウェットよりもキレイめ。冬はジップアップセーターさえありゃオッケーだぜ、と私は心に決めていた。
ところが、現在はジップアップセーターはあまり販売されていないようだ。ネットショップを覗いてみると、前開きのニットはボタン付きカーディガンタイプばかりだ。
しかし、品揃えの多いネットショップを覗いてみると、ヒットした。↓これらの商品だ。
うむ、探せばないことはない。流行なんか関係なく、オレは探し続けるぜ。ミック・ジャガーも歌っている。
But if you try sometimes well you might find
You get what you need !