コラム

香川県高松市・まちのシューレ963 前編

別冊コロカル 第1回 香川県高松市

香川県高松市・まちのシューレ963 前編

わざわざ訪れたくなる各地のすてきなお店たち。マガジンハウスwebマガジン「コロカル」と連動し、各国を旅していきます。第1回は香川県高松市へ。

高松発、暮らしのセレクトショップ。

「まちのシューレ963」(以下シューレ)は、高松市のなかでも近年再開発がめざましい、「高松丸亀商店街」に建てられた真新しい複合ビルの2Fにある。入り口付近には、大きな鉢植えの木々が並べられ、ビルの中とは思えないくらい緑がまぶしい。

「もともと、この高松丸亀商店街の再開発に伴い、香川県のものを発信するショップがつくれないかという依頼が、高松出身であるくるみの木オーナーの石村由起子さんのもとへ届いたことから始まりました」とマネージャーの今村佳子さんが、オープンまでの経緯を教えてくれた。

初めての人でも親しみやすいよう、入り口に近いほうから、食品→生活雑貨→ギャラリーという売り場構成になっている。ちなみに入り口右手にはカフェがある。
初めての人でも親しみやすいよう、入り口に近いほうから、食品→生活雑貨→ギャラリーという売り場構成になっている。ちなみに入り口右手にはカフェがある。

「くるみの木」は、石村さんのセンスがギュッと詰まった奈良の人気雑貨店。店内の空間に、販売されている生活道具に、カフェメニューに……くるみの木を訪れ、たちまちファンになってしまう人は多い。その石村さんが「私が幼い頃に感じた、商店街へ募らせたワクワク感は消えないでほしいから」と再開発される商店街の一角につくられるシューレをプロデュースした。

 

シューレには、香川のものはもちろん、最初は、石村さんがこれまでに日本各地で出合ってきた暮らしの知恵と細やかな美しさを放つデザインを持つものが集められた。

 

「現在、オープンして3年目ですが、シューレはさらに面白い地元のものが集まってきています」と今村さん。そのひとつひとつを案内してもらった。

写真右手が食品売り場、中央奥がギャラリースペース。右手にいくと、生活雑貨、「さぬきもの」が集う工芸コーナーへと続いていく。
写真右手が食品売り場、中央奥がギャラリースペース。右手にいくと、生活雑貨、「さぬきもの」が集う工芸コーナーへと続いていく。

店内に入ると、まずその広さに驚く。ビル2Fの1画、広々とした1フロアには、「食品」「カフェ」「ギャラリー」「工芸品」「生活雑貨」「グリーン(植物)」と、さまざまなテーマによって分けられた売り場はゆるやかにつながり、
回遊できるようになっている。

 

まず、入り口を入るとすぐに左手にあるのは食品コーナーだ。中心に、生産者の顔が見える調味料や乾物、お茶、ジャムなどが並ぶ。小豆島産のエキストラバージンオイル、伊吹島周辺で採れた銀付きいりこを加工した「やまくに」のお出汁やおつまみ、瀬戸内の豊島でつくられたという手作りいちごジャム、高知県産の貴重な黄金生姜でつくられたジンジャーエール。一般のスーパーマーケットでは見たことがない商品ばかりで、思わず手にとってしまう。

マネージャーの今村さん。「やっぱり一番の売れ筋は、香川だけにうどんです(笑)。シューレでは三野製麺所の手打ちうどんを扱っています」
マネージャーの今村さん。「やっぱり一番の売れ筋は、香川だけにうどんです(笑)。シューレでは三野製麺所の手打ちうどんを扱っています」

「生産者さんのなかでも、パッケージまで手が回らないというときは、シューレオリジナルのパッケージをつくることもあります。つくり手の方と、ひとつひとつお話しながら取引をすすめていく。この3年の間に、スタッフひとりひとりが少しずつ生産者の方々と信頼関係を築いてきたと思います」と今村さん。地元・香川の商品は自然と増えてきている。

シューレオリジナルのパッケージを施した、屋島でつくられている、井上養蜂園のはちみつ。いろいろな種類から選ぶのも楽しい。
シューレオリジナルのパッケージを施した、屋島でつくられている、井上養蜂園のはちみつ。いろいろな種類から選ぶのも楽しい。

続いて、食品売り場の左手にあるのは生活雑貨コーナー。かごや南部鉄器の鍋、有元葉子さんが提案する「ラバーゼ」の台所道具も。そして大中小、大きさの違う取手付密封びんと、その隣には、シューレのカフェでつくられたという果実酒がディスプレイとして並んでいる。

 

「テラスにある植物も実のなる木が多いんですよ。香川は特に果実がよく育つ気候のようで、石村さんがシューレに来るたびに木の成長に驚いています(笑)。カフェでは、地元で採れた果実を使った、びわ酒、くるみ酒、姫レモン酒、などさまざまな果実酒も楽しめますよ。シューレでは、そんな風につくったり味わったり、“暮らす楽しみ”を総合的に発信したいと考えているんです」

 

実は、店の名前ともなっている“シューレ“とはドイツ語で”学びの場“という意味。石村さんはシューレに来ることで”暮らす楽しみ”を何かひとつ、学んで帰ってもらえるようなお店にしたいという思いがあったのだそう。

 

おいしそうな果実酒や可愛いデザインの生活道具を眺めていると、自分もまねしようかな、と日々の暮らしへの楽しい想像が膨らむ。そんな暮らしの情報がギュッと詰まったシューレの魅力はまだまだ奥が深いので、この続きは、後編で。

シューレでみなに愛されている、インコの「まるちゃん」。丸亀町にちなんで名付けたのだそう。まるちゃんをモチーフにしたポストカードや高松張子などのオリジナルグッズもある。
シューレでみなに愛されている、インコの「まるちゃん」。丸亀町にちなんで名付けたのだそう。まるちゃんをモチーフにしたポストカードや高松張子などのオリジナルグッズもある。

>>マガジンハウスのwebマガジン『colocal』では、まちのシューレ963でも器の取り扱いがある陶芸家・田淵太郎さんのアトリエを訪ねました。

⇒くわしくはこちらをどうぞ:COLOCAL

 

 

文・塚原加奈子 写真・嶋本麻利沙

まちのシューレ963

【住所】香川県高松市丸亀町13-3 高松丸亀町参番街東館2F【電話】087-800-7888【営業時間】物販11:00~19:30、カフェ11:30~18:00(オーダーストップ17:30)※金土日のみ~22:00(オーダーストップ21:30)第3月曜日休 (祝祭日の場合は振替有)

http://www.schule.jp/